9月18日はカップヌードルが発売された日。
1971年の出来事です。
カップヌードルの誕生の発端は「チキンラーメン」の海外進出にありました。
チキンラーメンといえば、この商品と並ぶほどの日清の定番商品です。
1958年に安藤百福によって、世界初の即席ラーメンとして発売されたチキンラーメンは瞬く間に人気商品として飛躍しました。
安藤はこのチキンラーメンの海外への販路拡大を目指して、ロサンゼルスのスーパーに販促をかけます。
しかし、アジアならばともかく、欧米の国には丼や箸を当たり前に持っている家庭は少ないのが現状でした。
そんな中で現地のバイヤーが麺の塊を砕いて紙コップに入れ湯を注ぎ、フォークで食べているのを目にした安藤はこれをヒントに
「いつでもどこでも食べられるラーメンを作ろう!」
と思い至るのです。
ただ、カップスタイルのインスタント麺を作るにあたって問題にぶち当たります。
容器の素材と、内部構造の問題でした。
売り込みから帰った安藤は、早速バイヤーがやっていた紙コップスタイルを試してみましたが、当時の紙コップは蝋をひいたパラフィン紙でできていたため、容器の匂いが移った臭いラーメンが出来上がってしまいました。
容器は発泡スチロール製でこしらえることにしたので、ひとまず匂いの問題は解決できましたが、次にそのカップにどう乾燥麺を収めるかに苦心するのです。
カップに乾燥麺を入れること自体は簡単ですが、ちょうどいい麺の塊の大きさが見つかりません。
麺がカップより大きければ当然入らず、小さければ輸送中にカップの中で揺られて割れてしまいます。
そこでカップの底側に空間を作り、上側はカップ内径にちょうどはまる大きさにすれば、上手く容器に収まり、かつ輸送にも適したサイズになるというアイデアを思いつきました。
けれども、口で言うのは簡単ですが、これをいざ試してみるとカップの中で転がったり返ったりで思ったようにはいかなかったようです。
寝ても覚めてもこのことばかり考えていた安藤でしたが
「カップに麺を入れるのではなく、麺にカップを被せるのはどうか」
と逆転の発想を得ました。
これが見事にはまり、当初思い描いていた形としてまとまって、カップヌードルの製品開発は進んでいきます。
このような試行錯誤の末、構想から5年の歳月を経てカップヌードルは世界初のカップ麺として発売されました。
その後、現在に至るまでに80か国以上で普及する定番商品となり、形は違えど「即席ラーメンを海外に売り込む」という当初の目的は達成されるのです。
なお余談ですが、カップ麺スタイルのチキンラーメンは1991年に発売されています。